ニワトリ胚操作の習熟を第一段階として掲げたが、この点において十二分に達成できた。川崎医科大学の和田直之助教と連携することでスムーズな習得が可能になった。また、四肢切断後に起こるイベントの検証のため遺伝子発現を観察する必要が生じるが、これに必要な遺伝子(DNA)も無事に単離できた。次年度に遂行すると掲げた強制発現系に関しても必要な資材すべてそろえることに成功した。この中にはウイルスの作成が含まれているが、岡山大学内ではP2の申請が下りなかったため、和田博士に協力を依頼した。研究の立ち上げが本年度の研究費交付の意義であるとすれば、これを十分に達成できたと考える。さらには、実際のニワトリ切断肢における遺伝子発現の変化を観察することも完了できた。これによって、切断によってどのような問題があるのかを明らかにすることができた。切断における問題点としては、傷の修復が遅いことと発生肢芽に確立される"軸"がうまく確立されないことにあった。この二点を解決することが今後の課題と考えられるが、すでに方策を立て、具体的な解決に向かって動き出しているところである。本年度は10月からの開始という事で半期しかなかったが、予想以上の成果を上げることができたと考える。上記の切断後に起こる問題点の描写に関しては論文の作成まで達することができた。今後は論文の作成と、上記で明らかになった問題の解決に向けて研究を推進する。
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