本研究では"上皮性の形態形成を微小管の振る舞いから理解する"を大きな目的とし、1、神経管閉鎖における微小管の役割に関する解析、2、微小管の振る舞いを調節する因子xMIDsの機能解析、3、ツールとしてのライブイメージング技術の発展と定量生物学的解析、を実施した。まず微小管の重合を阻害したツメガエル胚を解析し、微小管の機能が神経上皮細胞における細胞伸長、頂端収縮、細胞接着に必須であることを明らかにした。また、神経管閉鎖を制御する因子として同定したxMIDsの機能解析を進め、xMIDsの機能阻害により細胞伸長、頂端収縮、細胞接着、微小管ネットワークの再編成が阻害されることを明らかにした。一方でxMIDsの機能を阻害しても神経細胞の発生・分化・背腹軸に沿ったパターニング、そしてShhシグナル経路の活性に変化がなかったことから、xMIDsの機能は神経板(管)を構成する上皮細胞の形態と上皮構造の統合性の制御にあることが明らかになった。 また既知の相互作用因子と質量分析にて同定した新規のxMIDsの相互作用因子の機能解析を行った。 既知の相互作用因子の1つのAlpha4と質量分析にて同定したCasein kinase IIは神経上皮細胞における機能的関連性は検出されなかったが、もう1つの既知相互作用因子であるMig12に関して、上皮細胞の形態制御と微小管再編成制御におけるxMIDsとの機能的関連性を見出した。また、解析3、については、ツメガエル胚に加えゼブラフィッシュ胚のライブイメージングを新型顕微鏡DSLMにて行い、神経管形成における細胞伸長の過程とその際の微小管動態の経時観察の系を確立した。
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