研究概要 |
1.ダイズ転写因子のカタログ化 ダイズ全ゲノム配列をコンピューター分析し、転写因子をコードする全ての遺伝子を抽出、隠れマルコフモデルに基づきDNA結合ドメインで分類した。4342遺伝子座に存在する5035個の転写因子が61個のファミリーに分類された。これらの情報をまとめて、ダイズの全転写因子を網羅するデータベース、SoybeanTFDB(http://soybeantfdb.psc.riken.jp)を作製した。そこには、機能モチーフ、完全長cDNA配列、ドメイン配列のアライメント、プロモーター領域、ゲノム構成、およびシロイヌナズナとの比較分析で得られた遺伝子アノテーションに基づき推定された制御機能などの情報が含まれている。さらに全てのプロモーター配列を解析し、PLACEデータベースに登録されている全タイプのシス因子を抽出後、非生物学的ストレス応答シス因子を同定した。SoybeanTFDBは公開情報リソースとして誰でも利用できるので、容易にシス因子や遺伝子アノテーションなどの情報にアクセスでき、ダイズ転写因子の機能予測から目的に合った遺伝子を選抜できる(Mochida et al.2009, DNA Res 16 : 353-369)。 2.GmNAC転写因子の同定、構造解析及び系統解析 ダイズ全ゲノム配列より205個のダイズNAC転写因子(GmNAC)を同定した。それらをコードする完全長ORF(Open Reading Frame)を決定し、全GmNAC転写因子の構造解析を行った。さらに他のマメ科植物、シロイヌナズナ、イネ、ポプラとの比較解析、及びNCBI nrとUniProtに登録されているタンパク質との比較解析を行った。データは理化学研究所のSoybeanTFDB及びマメ科植物の転写因子統合データベース、「LegumeTFDB(http://legumetfdb.psc.riken.jp/index.pl)で公開している(Mochida et al.2010, Bioinformatics 26 : 290-1)。またGmNAC転写因子の機能を予測するため、GmNAC転写因子とゲノム解析された異なる植物種の全NAC転写因子との包括的系統解析を行った。
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