当初の計画通り、翻訳因子およびトランス・トランスレーション関連因子を用いた反応中間体の形成をin vitroで行った。翻訳の停滞したリボソームとして、従来のpoly-U-dependent poly-phe合成系に加えて、AcPhe-tRNAを用いた系の確立を行った。薄層クロマトグラフィによってPhe-tRNAのアセチル化を、限外濾過によってリボソームへの結合活性を測定した。前者は90%以上の効率でアセチル化されており、今後の複合体形成を行う上で十分な収量であると考えられる。リボソーム結合活性については、反応条件の最適化によって50%程度にまで効率をあげることに成功した。 以上の結果を踏まえた上で、トランス・トランスレーション反応の最初の中間体であるPre-translocation stateの複合体形成の条件検討を行った。複合体は、ペプチド転移反応活性を測定することで評価を行った。その結果、最大80%程度の複合体が形成していることを確認した。今後、この複合体に対して部位特異的ラジカルプロービングおよび化学修飾剤によるフットプリンティングを行う予定である。 平行して、複合体解析に必要な部位特異的クロスリンク法の確立を行った。現在までに基礎的な条件検討はほぼ終了し、リボソームとSmpB複合体の解析を行った。その結果、SmpBのある部位とリボソームタンパク質の複合体を確認し、質量分析によってタンパク質の同定に成功している。今後はさらに発展させ、上述のトランス・トランスレーション反応中間体に対しても同様の解析を行っていく予定である。
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