研究課題
若手研究(スタートアップ)
WIPK/SIPK RNAi形質転換体においては、傷害に応答したジャスモン酸の蓄積が抑制され、本来誘導されないサリチル酸の蓄積が誘導される(Seo & Katou et al.2007)。サリチル酸とジャスモン酸の生合成経路の活性化機構を解明するため、本研究ではWIPK/SIPK RNAi形質転換体を用いて以下の研究を行った。1.WIPK/SIPK RNAi形質転換体におけるサリチル酸生合成経路の解明WIPK/SIPK RNAi形質転換体における傷害に応答したサリチル酸の蓄積に、PAL経路あるいはICS経路が関与するか明らかにするため、PALA、PALBおよびNtICS mRNAの蓄積動向を傷害後経時的に測定した。その結果、WIPK/SIPK RNAi形質転換体とコントロール植物の間には顕著な差は認められなかった。同様にPAL活性を比較したところ、WIPK/SIPK RNAi形質転換体の方が有意に低い活性を示した。これらの結果から、WIPK/SIPK RNAi形質転換体における傷害に応答したサリチル酸の蓄積にPAL経路が関与する可能性は低いと考えられた。2.WIPK/SIPK RNAi形質転換体において蓄積量が変化する葉緑体タンパク質の同定Percollの密度勾配遠心を用いて、WIPK/SIPK RNAi形質転換体より純度の高い葉緑体を単離する条件を確立した。また、超音波破砕および超遠心を用いて、単離した葉緑体より可溶性タンパク質を抽出する条件を確立した。今後は、二次元電気泳動等により抽出したタンパク質を分離後染色し、WIPK/SIPK RNAi形質転換体とコントロール植物の間でシグナル強度に違いのあるスポットを同定する。
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Molecular Genetics and Genomics 282
ページ: 517-529