近年、モクセイ科やリンドウ科などの植物にのみ存在するイリドイド化合物は植物の生体防御化合物であると提唱されているが、未だ分子レベルでの解明はなされていない。本研究ではイリドイド化合物の一つであるオレウロペインを化学防御物質前駆体と考え、環境ストレス(本研究ではオリーブアナアキゾウムシの食害)に対する樹木の化学防御機構の解明を目的とした。平成22年度はオリーブ実を用いてオレウロペイン糖加水分解酵素(β-グルコシダーゼ)の精製を行った。オレウロペインを基質、各クロマトグラフィーによって分けられたフラクションを酵素溶液として反応を行い、LC-MSを用いて代謝物を分析することで、酵素活性画分を追跡した。ゲル濾過クロマトグラフィーカラム(Superdex200)精製後のフラクションをSDS-PAGE分析した結果、オレウロペイン糖加水分解酵素を精製することに成功した。そこで各バンドの部分アミノ酸配列を解析するために、各バンドをゲルから切り出して、LC-MS/MS分析を行った。得られたペプチド配列をペプチドシーケンス情報データベース(Masscot)およびde novo解析(PEAKS 5.0)を行った結果、60kDa付近のバンドが有するペプチド配列が植物のβ-グルコシダーゼと相同性が高いことが分かった。部分アミノ酸配列から設計したジェネレートプライマーを用いて、オリーブから全長cDNA配列の取得に成功した。また
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