研究概要 |
本研究では,リモートセンシング技術の中でも,高い波長分解能と多波長連続測定が可能なハイパースペクトルセンサーの草地・畜産管理技術への実利用に向けて,特に牧草の品質診断における波長特性の把握と,草量・草質の推定方法の開発を目的としている。最終年度は,昨年度と同様の現地調査を継続すると同時に,研究成果の論文執筆を精力的に行った。本研究課題で得られた主な成果は以下のとおりである。 1.ブートストラップを応用した新しい波長選択法を用いた多変量回帰分析により,地上ハイパースペクトル計測で得られた可視・近赤外領域の波長情報(400-2350nm)のうち,マメ科とイネ科の飼料成分含量の差異から,マメ科率の推定に重要な波長がそれぞれ得られた。 2.遺伝的アルゴリズムを応用した波長選択型Partial Least Squares (PLS)回帰によって,草量と窒素(N),粗タンパク質(CP),粗繊維(NDF,ADF)の推定に重要な波長がそれぞれ得られた。また,全課題までの波長選択方法(ステップワイズ重回帰分析,ISE波長選択型PLS回帰など)で得られた波長を使用した回帰分析による推定方法に比べて,その推定精度も向上した。 本研究によって,草量に加え,これまで困難とされてきた草質情報の推定に有効なスペクトル情報に関する知見が得られた。これらの成果は,航空機・衛星画像よる草量・草質の広域的な推定および草地診断技術への応用に有効な情報になり得ると期待される。
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