研究課題
若手研究(スタートアップ)
高脂肪食を摂取させたラット群の中で、普通食群の平均体重を上回る高脂肪食肥満(DIO)ラットと普通食群(コントロール)の平均体重を下回る高脂肪食耐性(DR)ラットを作出した。小動物CT装置による解析により、DIOラットはコントロールラットに比べ脂肪率が高く腸間膜脂肪細胞の直径が著しく大きくなっていたが、DRラットではコントロールラットとほぼ同程度の脂肪率と腸間膜脂肪細胞の直径であり、腸間膜脂肪組織全体の体積は減少していた。また、脂質代謝に関わるホルモンである中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールなどの血中脂質は、コントロールラットに比べDIOラットのみ中性脂肪とLDLコレステロールの濃度が減少していた。また、脂質代謝に関わるホルモンであるレプチン、アディポネクチンは、コントロールラットに比べDIOラットで増加傾向が認められたが、DRラットではほぼ同様の発現であった。これらの結果から、DIOラットでは腸間膜脂肪の著しい蓄積が認められるが、DRラットでは腸間膜脂肪の蓄積が少ないことが明らかになった。また、糖代謝機能を検討した結果、血糖値には群間に差が認められないが、DIOラットはインスリンの基礎値が著しく亢進しインスリン抵抗性を呈した。さらにグルコース負荷試験、インスリン負荷試験を行い、耐糖能およびインスリン感受性を検討した結果、DRラットはインスリン感受性が良いことが判明した。自発運動量、摂取エネルギー、酸素消費量は、いずれも群間に差は認められなかったことから、高脂肪食耐性を示すDRラットは、特異的なエネルギー代謝調節機構を有していると考えられる。現在、これらのラットを用いてDNAマイクロアレイにより網羅的に腸間膜脂肪組織の遺伝子発現の解析を進めている。
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化学と生物 Vol.47
ページ: 750-755
Experimental Animals Vol.58
ページ: 471-479