正常犬に正常血糖クランプ状態で0.5IU/kgのinsulin detemirを単独皮下投与した。グルコース注入率(GIR)を検討したところ、insulin detemirの作用ピークは投与後約4-6時間であり、投与後24時間までその作用が持続した。さらにこのデータをもとに実際の糖尿病犬においてもインスリンデテミルを皮下投与したところ、正常犬の結果と同様の血糖降下作用が、糖尿病犬においても証明された。これらの結果は、Research in Veterinary Scienceに学術論文として投稿し、受理された。 平成22年度の研究では、インスリンデテミルを用いて、2週間の厳格な血糖コントロールが可能となるインスリン投与量の半量を糖尿病犬に投与し、意図的に血糖コントロールを悪化させた。その後インスリン投与量を戻し、厳格な血糖コントロールを1ヶ月間(長期間投与の検討)行った。血糖コントロールが悪化した状態および厳格な血糖コントロールを実施してから、1ヶ月後に肝臓、骨格筋および脂肪組織からバイオプシーを行いインスリン感受性組織における、インスリンシグナリング遺伝子の発現を検討した。 その結果、厳格な血糖コントロール後の組織において、インスリンシグナリング遺伝子発現の上昇が認められ、インスリン感受性が良化していることが示唆された。本研究結果は学術論文へ投稿するため、現在論文を執筆している。
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