本年度も昨年度同様、畑地でのミミズ採取を効率的に行うために、ミミズの垂直分布及び採取時間と採取率の関係を把握した((1)採取法の確立)。それと同時に農法とミミズ相の関係を把握した((2))。本年度は、昨年採取しなかった、非火山灰土において調査を行った。また日本在来のミミズの飼育法確立を試みた((3))。(1)の研究を遂行するために、茨城県内の畑作を行っている圃場5ヶ所(慣行栽培、有機栽培)で調査を行った。調査は、土を0.25m^2の方形区で深さを10cm毎に50cmまで採取し、実験室で時間を計測しながら土からミミズを採取した。調査の結果、昨年度よりも10cm深い表層30cmまで採取しなければ、95%(50cmまで採取した時のミミズの重量を100%とした場合)のミミズを採取出来ず、15.6Lの体積の土では6分かけなければ90%以上のミミズが採取出来なかった。このため、効率的かつ高精度で調査を行うには本年度の結果を採用すべきと結論付けた。(2)の農法とミミズ相の比較の結果、昨年同様有機栽培においても、ミミズはわずかしか生息していなかった。サンプル数は少ないものの、昨年及び本年度の結果から、有機栽培においてもミミズの生息密度は低密度であることが明らかとなった。(3)のミミズの飼育法確立に関する研究では、野外に生息しているミミズ(ヘンイセイミミズ、サクラミミズ)を採取し飼育実験を行った。ミミズは、温度15℃、最大容水量の60%で黒ボク土と灰色低地土で飼育した。餌としてイナワラ等を粉砕したものを用い、これらを土壌に混入した。ミミズの重量を定期的(2、3週間)に測定し両ミミズ種の飼育可能性を調べた。その結果両ミミズとも、非火山灰土で有機粒を添加することで、高い重量増加が認められた。この結果から、両ミミズとも非火山灰土を用い有機物を添加することで飼育できる可能性が示唆された。
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