研究課題
本年度は、昨年度までのデータを基礎として、更に有望な家畜飼料由来の乳酸菌株の分離・性状解析・選抜と、ウシ腸管上皮細胞株における十数種類の自然免疫レセプターの詳細な解析を行った。大家畜の消化管自然免疫調節作用に有用な乳酸菌の選抜において、数多くの飼料素材からの分離の重要性を考慮し、イタリアンライグラス牧草サイレージより乳酸菌を37菌株分離し、そのうち23菌株について免疫調節ポテンシャルを考慮して詳細に検討した。生理・生化学的性状解析および16S rDNAシークエンス解析により、分離菌株を7グループに分類した。本研究により、これまで本サイレージより分離報告のないLactobacillus coryniformis subsp. torquensとLeuconostoc mesenteroides subsp. dextranicumが初めて分離され、これら新規分離株の自然免疫調節作用が強く期待された。ウシ腸管上皮細胞株の詳細な解析により、細胞膜貫通型Toll-like receptor(TLR)ファミリーおよび細胞内Nucleotide-oligomerization domain(NOD)ファミリーの顕著な発現が認められ、特にTLRI、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、NOD1の強い発現を見出した。ウシ腸管上皮細胞は、菌体の細胞表層成分を認識するパターン認識受容体を特徴的に発現していたことから、主に菌体内成分ではなく菌体表層成分の認識により、サイレージから消化管内へと移行した乳酸菌等の微生物を識別していることが考えられた。
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Animal Science Journal
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