遺伝子相同組換え(HR)修復は細胞周期S-G2期にその効率が高いことから、S-G2期にある細胞の割合を高めることでHRならびにジーンターゲッティング(GT)効率が向上すると予想される。そこで、本研究では、(1)シロイヌナズナ、イネを材料に、薬剤処理や細胞周期制御因子の変異がHR効率に及ぼす影響を評価し、(2)HR効率の向上に効果のあった変異体および、薬剤処理について、GT効率を評価する。近年、高等動物において、HRの初期反応において重要な役割を担うCtIPのリン酸化がS-G2期特異的であることが報告されたことから、H23年度(1)として、シロイヌナズナ疑似リン酸化CtIP過剰発現コンストラクトを構築し、GUS遺伝子を利用したHRレポーターコンストラクトを有する植物体への形質転換体を行い、HR効率の評価に着手した。また、(2)として、GT効率を正確かつ迅速に評価する為のアッセイ系を構築した。まず、meganucleaseであるI-SceIの認識配列のコード領域内への挿入により不活性型となったluciferase遺伝子と、誘導的I-SceI発現カセットを導入したイネ、およびシロイヌナズナを作出した。次に、I-SceIの発現誘導とともに、レポーター遺伝子上のluciferase遺伝子を相補するGTベクターを形質転換し、機能的なluciferaseの発現によってGTが生じた細胞の検出が可能であることを確認した。
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