本研究では、これまでほとんど知られていなかった、共生細菌の発生過程における挙動と宿主ホルモン、栄養状態の関係、および共生細菌が宿主体色に及ぼす影響を複数の昆虫で評価することで、"「共生」と「内分泌環境」のクロストーク"という新しい研究領域の開拓を目指すものである。平成21年度の研究結果から、特に半翅目昆虫のホソヘリカメムシにおいて、脱皮ホルモンによって引き起こされる絶食状態が、共生細菌の存在量の変化の直接的な原因となっている可能性が高いことが示された。また、共生細菌が感染する中腸のESTデータベースを整理して、感染/非感染に関連した遺伝子を多数見出すことに成功した。さらに、laccase2など体色に関わる複数の遺伝子についても解析を進め、脱皮と密接な関係があることが複数の昆虫で明らかになったことから、共生細菌が宿主体色変化に及ぼす影響を調べる糸口を見出すことができた。宿主ホルモンとlaccase2など特に体色に関わる結果については、国際誌で発表を行ったほか、国内外の複数の学会で発表を行った。
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