ヒト腫瘍ヌードマウス皮下移植モデルから4種類の腫瘍血管内皮と正常血管内皮の分離・培養を行った。フローサイトメーターにおいて、分離・培養した血管内皮マーカーにおいて血管内皮マーカーであるBS1-B4 Lectin、CD54、CD105などが強陽性であることが確認した。 また分離培養した血管内皮をin vitroで解析し、緑茶カテキンEpigallocatechin-3-Gallete : EGCGが、腫瘍血管内皮の増殖、遊走、生存シグナルに与える影響について解析した。さらにin vivoマウス腫瘍モデルにおいてEGCGの治療効果を検討した。 従来、分離・培養が困難であるとされていた腫瘍血管内皮と正常血管内皮の分離を行い、純度の高い血管内皮を得ることができ、さらには3ヶ月以上の長期にわたる培養に成功した。 また、緑茶カテキンが、血管内皮の遊走、生存シグナルPI3K経路のキープレーヤーであるAktのリン酸化を腫瘍血管内皮特異的に抑制することを示すことができた。 さらに血管内皮前駆細胞(EPC : Endothelial Progenitor Cell)の腫瘍組織への動員に関与していることが知られる骨髄ストローマ細胞のMMP-9の発現について調べた。口腔癌担癌ヌードマウスの骨髄から分離培養された骨髄ストローマ細胞において、EGCGによりMMP-9の発現が抑制された。 さらには、in vivoマウス腫瘍モデルで、コントロール群に比べ、緑茶カテキンEGCG投与群では、腫瘍容積、微小血管密度の減少が見られ、緑茶カテキンEGCGがin vivoで、治療効果を有する可能性が示唆された。
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