骨再生材料の機能発揮においてメカニカルストレスは重要な要素の一つであると考えられている。本研究は、生体応用後の材料自身が周囲組織から受けるメカニカルストレス量を規定できるモデルの開発を目的とした。実験にはリン酸オクタカルシウム(OCP)をベースとした骨再生材料であるOCP-コラーゲン複合体(OCP/Col)を用い、それらを犬上顎骨欠損モデルへ応用した。メカニカルストレス負荷には歯科矯正治療用の装置を応用し、試料埋入部位両端の歯牙に装着後、歯牙の牽引力を調整することで試料埋入部位へ負荷するストレス量を調整するよう計画した。初めにメカニカルストレス未負荷時の骨構造解析を行うため、試料埋入部位を埋入10カ月経過時点で摘出し、microCTによる構造学的解析および皮質骨・海綿骨の定量的解析、HE染色による組織学的解析を含む各種評価を行った。組織および構造学的解析結果からOCP/Colによる再生骨は、皮質骨様組織と、骨梁様構造を有する海綿骨様組織という二種の異なる自家骨類似の組織から構成されることが示唆された。これまで骨再生材料による再生骨自身の構造学的解析報告は少なく、さらに質の異なる自家骨様組織の形成はOCP/Colの優れた骨再生能を改めて示唆する結果であるとともに、今後の再生医療分野においても貴重なデータであると考える。また本研究では同時に、OCP/Colによる再生骨と自家骨の比較検討を行ったところ骨梁組織の走向や密度等の面において両者の相違を確認することができた。
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