本研究は今まで廃棄されていた唾液を採取し、それを検体とした患者の全身的なスクリーニングを行えるようにする為の基礎的な研究である。近年、全身疾患と歯周疾患の関連性が指摘され、全身疾患の増悪を防ぐため口腔ケアの重要性が言われている。しかしながら、全身疾患への口腔ケアの効果に対する生化学的評価が皆無であった。本年21年度の実施計画では、健常男性のコントロール群における唾液採取法の検討と解析法の確立であった。特に、心臓血管疾患と歯周疾患の両疾患の増悪に関連性が言われているMMPsについて、唾液をサンプルとして検出を行うためのシステムの確立を行っている。当初は、純唾液をサンプルとして行う予定にしていたが、心臓血管患者の手術前のサンプルの採取にあたって、身体的負担の軽減のため刺激性の混合唾液について解析を行うためのシステム構築を自指している。本年の研究では、健常者20代の歯周疾患に罹患していない男性9名からサンプルの取得を行い、-20℃で保存したサンプルと、採取直後のサンプルについて、プロテインアッセイを行ったところ、両サンプルよりウェスタンブロクツトとELISAアッセイを行うための十分なタンパク質を得た。また、ウェスタンブロットにて唾液中のMMP-8の発現を確認している。現在、心臓血管疾患患者からの混合唾液サンプルを、口腔ケア介入前と介入後一ヶ月後で採取しており、-20℃にて保存を行っている。
|