研究概要 |
磁気共鳴スペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy : MRS)は、従来中枢神経系では主に頭蓋内疾患の診断に使われてきたが、磁場の不均一性やアーチファクトの問題がおり、脊髄でのまとまった報告はない。本研究では、超高磁場(3Tesla)MR装置を用いて脊髄MRSを試みた。本年度はまずファントムデータにおいて取得条件の最適化を行い、その後正常健康ボランティアの脊髄MRS撮影を行った。 脊髄MRSのデータ取得条件として、加算回数、TE(40ms,144ms)、コイル(NV16,Flex-M)、REST、Sadpad、PPU trigger、関心領域の大きさなどを変化させて、ポランティアの撮影結果の比較を行った。これにより、最適な取得条件が明らかになった。現時点では頸髄のみで信頼性の高いデータ取得が可能であった。本年度の研究で、まずは頚髄を対象としたMRSの臨床応用の可能性が示唆された。今後腰髄・胸髄に関してさらなる条件の最適化および、様々な脊髄疾患においてデータを集積していくことが課題である。
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