本研究では、一般病棟に入院するがん患者の家族に対するケアの質を向上させるための看護師支援プログラムの作成を目指し、一般病棟に入院し治療効果が見込めなくなってきた時期の再発がん患者の家族に焦点を絞り、熟練看護師がその家族の状況をどのように認識し、どのようなケアを提供しているかを面接調査によって明らかにすることを目的とした。対象は、がん看護における熟練看護師6名(がん看護専門看護師4名、緩和ケア認定看護師2名)、がん看護に関する臨床経験年数は、平均12.3年であった。面接内容は、あらかじめ対象者に、抗がん治療の効果が薄くなってきた入院中の再発がん患者の家族に関する事例を2、3例想起しておいてもらい、その家族の状況と実際に提供したあるいは提供すればよかったと思うケアなどについて語ってもらった。面接内容は、対象者の同意を得た上で録音した。調査に当たっては十分な倫理的配慮を行い、特に問題は生じなかった。録音データの逐語録を作成し、質的帰納的に分析した。結果として11についての事例を得た。分析の結果、がん患者の家族に対するケアとして「患者・家族の背景情報を正しく理解する」「患者自身の意思を明確にする」「患者の意思を支える」「患者の症状緩和を適切に行う」「家族の考えを理解する」「家族の感情を受け止める」「家族をねぎらう」「少し先のことを見通して患者・家族に関わる」「患者だけでなく家族もサポートすることを伝える」「家族をサポートする体制を確保する」「家族が話しかけやすい雰囲気を作る」「特定の家族に負担がかからないよう配慮する」などが抽出された。今後さらに分析を進めてケア内容の整理をし、支援プログラム作成をする予定である。
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