本研究の目的は、地域住民との共働による生活習慣病予防活動の成果とその関連要因を明らかにし、支援の方向性の示唆を得ることである。生活習慣病は長年わが国の上位死因の主要因となり、生活習慣病予防の取り組みの必要性は高い。生活習慣病は長年の生活習慣の積み重ねによる疾病であり、その生活習慣の改善には住民自身の主体的で継続的な取り組みが重要になる。そのためには、生活習慣が築かれた個人・家族やその地域の状況に合わせた保健活動を住民と共に行うことが重要になってくると考える。本研究では、保健師が特定の住民と一定期間一緒に活動し、保健師が何らかの成果を得られていると判断している生活習慣病予防を目的とした活動、1事例について、その活動に関わっている保健師と地域住民3名にインタビューを行った。対象となった事例は、保健師が地域全体で糖尿病予防活動に取り組む必要性を感じ、平成6年から保健師と住民とが一緒になって取り組んでいる活動である。保健師へは「これまでの活動経過」「活動に対する支援内容」「住民の変化」「活動の成果」について、地域住民へは「参加のきっかけ」「参加を通しての自身の変化、家族や周囲の変化」「活動に対する思いや考え」について聴取した。また、関係資料や援助記録等の閲覧も行った。聴取した内容や関係資料の閲覧より、「住民の変化」「保健師の支援内容」「活動の成果」を抽出し時系列にそって整理し、活動成果と関連している要因を分析し明らかにした。これらにより、保健師の支援がどのように関連しているのかを検討した。
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