研究概要 |
ASGR1-Gal/GalNAc型糖鎖相互作用を介した3LL細胞の各種細胞死感受性への影響について細胞培養プレートに固相化したrASRG1を用いてin vitroにおいてASGR1-Gal/GalNAc型糖鎖の相互作用の存在下で培養した3LL細胞を用い、各種細胞死を誘導してその感受性について検討した。rASRG1と供培養後4、24、48、72時間後においてa)対照試験として既存各種抗がん剤(cisplatin、doxorubicin, gemcitabine)による細胞死の誘導、b)death receptor pathwayを介したアポトーシス(FasL)を対照群(rASGRの刺激無しでの培養群)と比較したが、これらの感受性に差異は認められなかった。一方、3LL細胞を用いた実験的転移モデルにおいて、in vitroでの固相化rASGR1との供培養後の転移巣形成能における差異について検討した。実験的肺転移モデルにおいてrASGRと培養した後に3LLの肺転移形成能が亢進している事を確認した。現在このメカニズムに免疫逃避機構が関与しているかについてさらに詳細に検討している。これまでに得られた結果から、癌細胞上のGal/GalNAc型糖鎖とそれを認識するASGRを介した相互作用によって転移能の亢進が認められ、このプロセスにおいて抗がん剤に代表されるような細胞傷害やFasLを介したエフェクター機構以外が関与している可能性が示された。
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