研究課題
本研究課題においてはCCR4複合体がポリA分解活性を通してメタボリックシンドロームに対してどのように影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的としている。本年度は、昨年までに得られたデータをまとめて論文を投稿し、雑誌社からのコメントを基に追加実験を行った。CCR4複合体の構成因子であるCNOT3がマウスにおいて栄養状態により発現変動することを明らかにしていたが、マウスに糖やインスリンを注入することによりCNOT3の発現に重要な栄養シグナルを探索した。また昨年度までに同定したCCR4複合体の標的mRNAをCNOT3がどのように認識しているかを調べてきた。その結果CNOT3がmRNAを認識するには標的mRNAの3'UTRが内在性配列として重要であることを明らかにした。さらにRIP-CHIPを行うことによりmiRNAがCCR4複合体によるmRNAの認識に関与していることも明らかにでき、生体内における新たなmRNAの発現制御機構を示唆することができた。CNOT6L遺伝子欠損マウスに関しては、昨年度までにCNOT6L遺伝子欠損マウスが肥満耐性であることを明らかにしてきたが、本年度はそのメカニズムの解明に踏み込むことができた。CNOT6LのポリA分解活性そのものがエネルギー恒常性の維持において重要かを確かめるために、まずCNOT6Lの構造を解明し活性に重要なアミノ酸を調べた。CNOT6Lの構造に関しては論文を発表することができた。その結果を基に活性変異体を作製し、実際に遺伝子欠損マウスに導入することによりエネルギー恒常性維持におけるポリA分解活性の重要性を明らかにすることができた。このプロジェクトでは予想以上の成果が得られ、論文も発表することができた。これらの研究は肥満や糖尿病といった疾患への創薬に結び付く可能性があり、臨床応用に役立つことが期待される。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Genes to Cells
巻: 16 ページ: 368-379
The EMBO journal
巻: 29 ページ: 2566-2576