TLR3下流II型IFN応答の制御機構を解明するため各解析を行ない、以下に記載する進展を得た。 1.TLR3リガンドの特定CVB3をUV照射により複製不可能な状態にしても、腹腔マクロファージでの遺伝子誘導が影響を受けない事を明らかにした。TLR3リガンドがCVBの複製過程で生じるのではなく、構造中に含まれることが示唆されたため、次にウイルスRNAを抽出し、腹腔マクロファージを刺激したところ、遺伝子誘導が起こらなかった。このことから、CVB3構造蛋白にTLR3リガンドが含まれる事が示唆された。さらに、CVB3構造蛋白中のCVB3リガンドを特定するため、HAタグ付きのTLR3Tg発現細胞株を樹立した。この細胞を用いて、TLR3と結合するウイルス蛋白を免疫沈降により単離する予定である。 2.TLR3下流のII型IFN産生メカニズムの解明TLR3下流において、II型IFNを誘導するサイトカイン(IL12、IL15、IL18)の誘導が起こる事を明らかにした。また、IL12、IL15の産生に重要な転写因子IRF1の欠損マウスにおいて、野生型と比較し、CVB3の増殖が増強される事を明らかにした。さらにIRF1のII型IFN誘導機構を解析する予定である。 3.TLR3-II型IFN応答の行う細胞の特定CVB3感染後のII型IFN誘導を各臓器で解析したところ、肝臓、心臓、脾臓でII型IFNの誘導が観察された。そこで肝臓におけるII型IFN産生細胞を特定するため、肝臓から血球系細胞を単離し、FACS解析により、TLR3依存的にII型IFNを産生する細胞の特定を試みたところ、NK細胞、CD8T細胞、樹状細胞においてII型IFN陽性細胞が観察されたものの、TLR3依存的ではなかった。CD11b陽性のマクロファージにおいて、TLR3依存的にII型IFN誘導が誘導される事が明らかとなった.
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