(細胞内TLR4の機能解明) FACS解析の結果、PRAT4Aの欠損はマクロファージ細胞表面のTLR4を完全に消失させることが証明された。その結果、PECにおいては全てのTLR4応答が欠損したが、骨髄由来マクロファージ(BM-Mφ)では様々な免疫応答(CD40の発現上昇やRANTES産生等)が残ることが判明した。これらの結果は、細胞内TLR4が特定の免疫細胞種で機能することを示しており、PECとBM-Mφの機能的違い(抗原提示能等)を示すことで細胞内TLR4の意義は解明されると考えられる。またPRAT4AKOマウスと同様のフェノタイプを示すと予測されたTIRAP/TRAMダブルノックアウトを作製・解析した結果、同マウスではTLR4リガンドに対する全ての免疫応答が欠損した。この結果は、細胞表面TLR4の応答にのみ重要であると考えられてきたTIRAP/TRAMが細胞内TLR4の応答においても機能し得ることを示唆しており、現在提唱されているTLR4応答モデルに対して新たな視点を与える重要な発見である。 (TLR5のリガンド認識部位の同定) 導入したTLR5KOマウスをネガティブコントロールとして解析を行ったところ、TLR5のリガンドとして使用していたFlagellinに未知リガンドが混入していることが判明した。精製グレードの高いFlagellinを使用して再度解析を行った結果、これまで認められていたCD40の発現上昇やRANTES産生は非特異的な応答であったことも判明した。これらの結果より、TLR5特異的に誘導される免疫応答の発見が重要である。一方、抗体作製の為に必要なTLR5KOマウスへのTLR5抗原の免疫は現在進行中である。これまで有用な抗体が存在しなかったTLR5のモノクローナル抗体を作製することは、TLR5の機能を解析する上で必要不可欠である。
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