本研究では、ラットの脳梗塞モデルを用いて脳梗塞急性期におけるアネキシン2と低容量tPAを組み合わせた新たな血栓溶解療法について、その効果を検証することが目的である。 平成21年度は次の4群についてそれぞれ治療効果を高磁場MRIで検証した。ラットの自己血栓による脳塞栓モデルを作成して、発症1時間後に各群の薬剤(もしくは生理食塩液)を投与して、4時間後までの病変および局所脳血流量の推移をMRIで観察した。また48時間後の病変を病理組織で確認した。 1)生食投与群:比較対象として用いる 2)低容量tPA(標準量の1/4)投与群 3)標準量tPA投与群 4)アネキシン2+低容量tPA(標準量の1/4)投与群 その結果、 1)アネキシン+低容量tPA投与群と標準量tPA投与群では、そのほかの2群に比べ有意に病変の縮小および脳血流の改善を認めた。2)48時間後の病理組織学的検討でも梗塞巣の大きさは同様の有意差を認めた。3)一方でアネキシン+低容量tPA投与群では標準量tPA投与群に比べ、出血性合併症の頻度は減少した。 上記の結果を踏まえ、今後はアネキシンの局所集積の程度を観察する予定である。また至適投与時期についても検討する予定である。
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