bHLH型転写因子Hand1およびHand2は、骨格系の中では下顎となる第一鰓弓のみに発現しており、鰓弓での発現を制御するエンハンサーを欠損させたHand2^<BA/BA>マウスでは、メッケル軟骨の欠損を認める。しかし、Hand転写因子の軟骨発生における標的遺伝子、機能は不明である。本研究の目的は、軟骨細胞での(1)Hand転写因子と他のシグナル伝達系のクロストークの同定および機能解析、(2)Hand転写因子の標的遺伝子の探索、を通じて下顎における軟骨発生の機構および軟骨細胞分化メカニズムを解明することである。 軟骨細胞におけるHand転写因子と他のシグナル伝達系とのクロストークを同定するために、酵母ツーハイブリッド法にて、Hand2およびTwist1をbaitとしてヒト軟骨細胞のcDNAライブラリーから陽性クローンの遺伝子を同定した。Hand2に対して特異的に相互作用する分子を抽出するために、Hand2と相同性の高いbHLH型転写因子Twist1をコントロールとし、以下の分子が同定された。Twist1と相互作用する分子:(1)組織全般に発現するbHLH型転写因子であるE2-2、(2)コアクチベーターLIMタンパク質。Hand2と相互作用する分子:(1)組織全般に発現するbHLH型転写因子であるE2-2、HEB、E12、(2)zinc-fingerモチーフを有する新規の転写因子、(3)ホメオドメイン結合領域を持つキナーゼ、(4)SUMOリガーゼ、ユビキチン結合酵素、等。 現在、興味ある全ての分子について全長のクローニングを終え、機能解析を行っている。
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