色の刺激が味覚閾値に与える影響を明らかにすることを目的とし、健康な女性26名を対象に実験を行った。実験は一人あたりのべ4日間で行い、食卓の色環境とした白、赤、青、緑の4色の420mm×315mmの色呈示の影響を、味覚定性定量検査用試薬による味覚閾値、質問紙による主観評価の変化によって測定した。その結果、赤と緑の呈示は4基本味のうち塩味を敏感にし、青と緑は甘味を敏感にした。また、緑呈示では塩味が敏感になったヒトは食欲が増進し、赤呈示で敏感になった人は疲労感や不快感が強かった。赤の活用には注意を要したが、緑や青は対象者の状態に関わらず味覚閾値を変化させる有効な色刺激であった。
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