研究概要 |
歯根膜は発生段階において間葉のみならず神経堤にも由来しているが、これまでに歯根膜において同定された幹細胞は間葉に由来するものばかりであった。そこで申請者らは神経堤由来細胞を追跡可能な遺伝子改変マウスを用いて免疫組織学的に検索を行ったところ、神経堤由来幹細胞の存在を強く示唆する知見を得る事に成功し、この研究では神経堤由来幹細胞を分離抽出し、その分化能および力学的刺激への応答能を解析し、歯周組織再建に向けた新たな幹細胞源を明らかにすることを目的とした。我々は組織標本上にて歯根膜細胞中のさらなる幹細胞マーカーの発現を検索し、HNK-1/CD57,SOX10の発現が、神経堤由来細胞において高頻度で見られることを明らかにした。現在マウスおよびヒト歯根膜由来細胞を用い、神経堤幹細胞について幹細胞能を維持した状態での培養の至適条件を検索中である。当初予定していた血清を含まない培養条件では生細胞が得られなかったため、神経幹細胞培養に用いられる添加物を使用した条件を検討中であるている。これまでのところ異なる培養条件において異なる形態を示す細胞群の分離に成功しており、さらなる条件の絞り込みをすすめている。また、使用を予定した遺伝子改変マウスはミシガン大学からの移管が大幅に遅れたため、東京医科歯科大学より移管する事とした。現在動物実験施設に於いて手続き中である。
|