昨年度の検討から、^<131>I標識metaiodobenzylguanidineのような小分子化合物においても、体腔内に播種した状況における内照射療法は静脈内投与による全身投与よりも体腔内投与による局所への投与が望ましいであろうことが示された。本年度は、ヒト神経芽細胞腫(SK-N-SH)腹腔内播種モデルにおいて^<131>I標識metaiodobenzylguanidineによる実験的内照射療法を行った。^<131>I標識metaiodobenzylguanidineを一匹当たり9.25-74MBqの範囲で段階的に静脈内投与量を増加し、末梢血血小板数で毒性を評価したところ、投与量依存性に血小板減少が認められたが、どの群においても投与8-9週後に投与前の値まで回復した。4×10^6の細胞を腹腔内投与し、2週後に55.5MBqの^<131>I標識 metaiodobenzylguanidineを静脈投与した群、腹腔内投与した群、未治療群で生存期間を比較した。静脈投与群の平均生存期間は、60.6±2.8日と、未治療群59.3±3.9日と比べ全く差が認められなかった。一方、腹腔内投与群では、94.7±17.5日と有意(p<0.02)に生存期間延長が認められた。体重減少で毒性を評価したところ、静脈内投与と腹腔内投与で差は認められなかった。以上の結果から、経時的体内動態観察結果・生体内線量分布観察結果から予測されたように、腹腔内播種神経芽細胞腫に対しては、腹腔内局所^<131>I標識metaiodobenzylguanidine投与による内照射療法の利益が大きいものと考えられた。なお、本研究課題のsulfoquinovosylacylglycerolは動物実験実施に必要な量が確保できなかったため、その内照射療法併用時の有効性を検証できなかったが、分子量約300の小分子量化合物である^<131>I標識metaiodobenzylguanidineが体腔内投与で望ましい挙動を示したことにより、同様に小分子量化合物であるsulfoquinovosylacylglycerolの同時体腔内投与の方向性を示すことができたと考える。
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