研究課題
本研究はライブイメージングの手法を用いて哺乳類大脳皮質形成の基盤となるニューロンの移動、配置ならびに神経軸索、樹状突起形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。当該研究期間においは、マウス胎仔脳スライス培養法を利用して、散発性に蛍光標識したニューロンを優れた空間解像度、時間解像度で経時的に観察するイメージング系を立ち上げ、(1)マウス大脳皮質の錐体ニューロン発生過程における移動様式の解析ならびに軸索、樹状突起の形成初期段階に注目したニューロン形態変化のタイムラプス観察、(2)ニューロン移動、軸索・樹状突起形成の基礎となる細胞極性の制御機構に関連して、ニューロンにおける主要微小管形成中心である中心体、細胞内膜輸送系極性化の指標となるゴルジ装置の可視化を達成し、それらの細胞内動態について解析を行った。その結果、(1)皮質板内部をロコモーション移動中のニューロンから後方に向かって軸索が形成される際には、ニューロンにおける主要な微小管形成中心である中心体が核に対して前方に配置されたままの状態で開始されること、(2)ロコモーション移動段階にあるニューロンにおいて細胞核が前方に動く際に核の前方に配置された中心体をしばしば追い越してその位置関係が逆転する瞬間が存在することなどを明らかにした。さらに、これらの現象を分子レベルで理解するべく、Tubg1遺伝子ノックアウトとTubg2ノックダウンを組み合わせることによりガンマ-チューブリンを枯渇させたニューロンの作出に成功しており、今後、ニューロンの移動、極性化に及ぼす影響を検討する必要がある。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Nature
巻: 465 ページ: 483-486
Neural Dev.
巻: 5 ページ: 23-23
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/dev-bio/staff/sakakibara.html