研究概要 |
本年度は、本研究施設での研究活動の開始にあたり、各種実験系を確立させた。 周産期脳障害モデルは、低酸素性虚血性脳症(HI)モデルと胎児発育不全(FGR)モデルを用いる。HIモデルは、イソフルレン麻酔下において、生後7日目の新生仔ラットの片側頸動脈を結紮し、その後8%低酸素負荷し、片側の梗塞モデルを作製する。50分から90分までのさまざまな時間で低酸素負荷をし、その48時間後に生理食塩水を経心臓的に還流した後、脳を取り出し2mmスライスを作製した。2,3,5-triphenyltetrazolium Chloride(TTC)染色にて受傷の程度を評価したところ、54分の低酸素負荷をすることにより、中等度の梗塞ができることがわかった。 FGRモデルは、妊娠13日目母獣の腹腔内に、浸透圧ポンプを埋め込み、合成トロンボキサンA2を20ng/時で持続投与することにより作製する。予備実験において問題なく作製できることを確認した。 治療に用いる細胞は、臍帯血および骨髄間葉系細胞を用いる。臍帯血に関して、採取、調整、保存に関してのプロトコールを作成した。臨床応用を見据えて、調整、保存に関しては、名古屋大学大学院医学系研究科小児科学所有のセルプロセッシングセンターで行う。また、ヒト骨髄間葉系細胞の培養法も確立させた。 次年度は、作製したHIモデル、FGRモデルに対し、上記細胞を移植し、組織学的、行動学的に治療効果が得られるかどうかを検討する予定である。
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