主に研究目的3).「小児の入院と母親の付き添いによるきょうだいの肯定的な変化を測定できる尺度を作成し、属性・背景因子との関連性を分析・検討する」について取り組んだ。 大阪大学医学部保健学倫理委員会の承認を得て、全国の400床以上で小児科を有する病院に入院する小児の母親を対象に、自記式無記名質問紙調査を実施した(N=201)。調査によって得られた、小児の入院と母親の付き添いにより起こるきょうだいの肯定的な変化について、Krippennsorffの手法を用いて内容分析を行った。きょうだいの肯定的な変化は、【現状の把握】、【情動の変化・成長】、【肯定的な行動の変化・増進】、【情動のコントロール・抑制の増進】、【自立的な行動の増進】の5カテゴリーから形成されていることを明らかにした。現在、分析結果を学術雑誌に論文投稿し、採択結果を待っている。この研究より、きょうだいは、入院児の入院という家族にとっての逆境の中において、否定的な感情を抱きながらも、入院児や家族のためにがんばろうと肯定的な変化をしていることを改めに明らかにし、その変化の出現を迅速にキャッチしていき支援に繋げる資料となった。 続いて、小児の入院と母親の付き添いにより起こるきょうだいの肯定的な変化の内容について、その変化の程度を4件法で調査し(N=254)、入院児のきょうだいの人格的成長尺度を作成した。この尺度は、母親の認識を通した小児の入院と母親の付き添いによるきょうだいの肯定的な変化の程度を測定できる尺度であり、その構造は「愛他的行動」、「情緒・社会的スキルの発達」、「セルフコントロール」の3因子からなる。 きょうだいの人格的成長尺度が、きょうだいの人格的な成長やがんばりを認めねぎらい、否定的な変化の緩和に繋げるためのツールとして、臨床の場で広く使用されていくことを望む。
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