研究概要 |
本研究計画は、GFP actin transgenic mouseを用いた壊死性腸炎モデルを用いてミクロレベルでのリアルタイムイメージを二光子レーザー顕微鏡(Two-photon laser-scanning microscopy;TPLSM)にて観察し、疾患とその治療効果を経時的に同一個体で判定することを可能とするものである。 現在、TPLSMと独自に開発したorgan stabilizing systemをさらに発展させることで、血管内皮層と血管平滑筋層をそれぞれ同定することが可能となり、マウス腸間膜の微少血管において、血管内皮層を選択的にLaser照射することが可能となった。これまでのレーザー血栓モデルでは、血管壁の腫脹・膨化・破綻が発生してしまい、血栓の均一性や再現性がなく、その評価方法も瞹昧なものであったが、今回血管内皮層選択的レーザー照射が可能となったことで、これらの有害事象は一例にも認められなかった。さらにIsolectin IB4を用いて、血管内皮を選択的に赤色発光させることにより、血管内皮層の障害部位がより鮮明なマルチカラーとしてのIntravital imageが得られ、このモデルの正当性が証明された。今回作成されたモデルは、二光子レーザーの長所である、increased depth of tissue penetration,less tissue photobleaching and photodamageにより、同観察部位において、長時間観察が可能な血管周囲の障害を伴わない真の血栓モデルとして有用なものとなると考えられ、現在この特徴的な血小板凝集についての論文を投稿中である。 次に壊死性腸炎モデル作成であるが、我々は、新生児マウスにおいては、開腹することなく、直接腹壁にレーザー照射をすることで、腹腔内の小腸粘膜層まで観察する新たな固定法を発明し、より低侵襲な(レーザー照射による影響を受けにくい)モデルが作成可能になった。この観察法において、LPS投与を行い、リアルタイムでのマウス腸間膜微少血管における変化や、腸管粘膜における変化を捉え、生体内薬剤効果判定を行っている。
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