研究課題
若手研究(スタートアップ)
本研究では、報告者が新たに設計したアミド結合等価体としてのクロロアルケン型およびヘテロ原子置換アルケン型ジペプチドイソスターの効率的合成法を開発し、本手法を基盤にがんやHIVと密接な関係にあるGPCRの一つCXCR4の新規ペプチド性アンタゴニストの創製を目的とした。平成21年度(初年度)は、ペプチド結合をクロロオレフィンで置換したクロロアルケン型ジペプチドイソスターを設計し、短工程かつ様々な置換基を導入可能な効率的合成法の開発を目指し、α位置換基の立体選択的導入およびクロロアルケン骨格の構築法について検討した。ベンズアルデヒドを出発原料として、分子内に不斉環境を有する鍵中間体(γ,γ-dichloro-α,β-enoyl sultam)を合成し、報告者が以前に開発したOne-Pot還元反応/不斉アルキル化反応を行ったところ、目的としたクロロアルケン骨格およびα位置換基のOne-Pot同時構築に成功した。α位置換基については、メチル基やベンジル基、プロパルギル基など様々な置換基が高立体選択的に導入可能であった(up to>95% de)。また、副反応としてS_N2'型アルキル化反応の進行も確認されたことから、これについても併せて精査した。その結果、S_N2'型アルキル化反応による新規合成法も開発することに成功した。本法はOne-Pot還元反応/不斉アルキル化反応では合成できない化合物も合成可能であることから、両法を相補的に用いることで多種多様なクロロアルケン型ジペプチドイソスターの合成が期待できる。今後は更なる柔軟な合成法へと展開し、生理活性ペプチドに応用することで、クロロアルケン型ジペプチドイソスターの機能評価を行う予定である。
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