研究概要 |
22年度は統合失調症患者、第一度近親者、健常被験者合わせて30名程度をリクルートする予定であった。患者、健常者については予定通りリクルート出来たが、第一度近親者については、患者の親または子であるケースが多く、患者群・健常群との年齢のマッチングが難しく、十分なサンプル数に達しなかった。このためgroup analysisは患者群、健常群のみで行うことになった。 各被験者に対しては、予定通りT1強調3D画像及び拡散テンソル画像の撮像と認知機能検査、臨床評価を行った。 灰白質の構造的解析では、画像解析ソフトFreeSurferを用いてsurface-based analysisを行い、統合失調症と健常者における皮質厚と年齢との関係を明らかにした(Kubota et al. Schizophr Res. 2011 ; 125:21-9)。白質の拡散テンソル画像解析では、Tract-based spatial statisticsと呼ばれる手法を用いて、健常者にみられる白質のasymmetryが患者で損なわれ、或いは強調されていることを明らかにした(Miyata et al. Human Brain Mapping, in press)。そして、灰白質異常と白質異常の相関については、FreeSurferとTBSSを用い、患者において皮質の厚さの低下と白質の統合性の低下とが相関することを明らかにした(笹本ら、第6回日本統合失調症学会にて発表予定)。 このように、当初の目的通り、統合失調症のコネクティビティ異常について、多モーダルのMRI画像を用いて、様々な角度から明らかにすることが出来た。
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