研究概要 |
本年度は、まずMRIデータ転送および画像解析のためのUnix-Windows混在ネットワーク構築を行った。膨大なMRIデータを取り扱うためには、この実験系の構築は必要不可欠であり、ネットワーク上でスムーズなデータ転送および画像解析が行える環境の整備が必要であった。さらに、脳機能画像法(fMRI ; functional MRI)や拡散テンソル画像法(DTI ; Diffusion Tensor Imaging)に用いられるEPI(Echo Planar Imaging)や脳機能計測に用いられるMPRAGE(Magnetization-prepared rapid acquisition with gradient echo)などのシークエンスの設定、および画像フォーマットの変換についての選考も行った。また脳機能画像ソフトウェアであるSPM(Statistical Parametric Mapping)や拡散テンソル画像解析ソフトであるdTV-II(The diffusion TENSOR Visualizer-II, ut-radiology)などのソフトウェア環境についてのシステム構築も行った。特に、一般に広く用いられている数値計算処理ソフトMatlab(The MathWorks, Inc)上での環境設定を行った。 実際にそれらの実験系がうまく作動することを確認した上で、当初の実験計画に基づいて、被験者(20名)を募り、脳形態画像撮像および拡散テンソル画像撮像を行った。本年度は特に心理的な成分による痛みについて調べるため、感情強度指標や情動強度尺度などの心理的な尺度を用いた実験も試みた。現在、それら心理尺度と脳形態計測法(VBM)や拡散テンソル画像法(DTI)などの画像データとの相関について、特に扁桃体・帯状回などの大脳辺系を中心に解析を行った。以上、本年度の研究実施計画に基づいて研究を順調に遂行した。
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