CD40活性化B細胞(CD40-B)は、樹状細胞に匹敵する抗原提示能を有し、かつ少量の血液より増幅し樹立可能であるため、小児や血球減少を伴う患者など多量の血液採取が難しい人からも十分量の抗原提示細胞を得ることが可能であり、腫瘍免疫などの細胞療法において有用である。 平成22年度の本研究計画では、1)遺伝子導入CD40-B細胞を用いた抗原特異的T細胞の樹立および特異性の検討、2)抗原特異的細胞傷害性T細胞の認識するHLA、エピトープの解析、3)抗原特異的CD4+T細胞の樹立、4)抗原特異的CD4+T細胞の認識するHLA、エピトープの解析、を予定した。 1)では、CD133、alpha B-crystellin発現mRNAを作成し、CD40B細胞にエレクトロポレーション法にて導入、CD8陽性T細胞を刺激しCTL樹立を試みた。現在までに抗原特異的CTLは樹立できておらず、現在も継続中である。CTLが樹立でき次第、2)の実験を行う。 3)4)抗原特異的CD4+T細胞の樹立については、CMVpp65由来ペプチド(K509 ; KYQEFFWDANDIYRI)添加CD40B細胞を抗原提示細胞として、抗原特異的CD4+T細胞クローンを作成し、組み換え蛋白添加CD40B細胞の抗原提示能を解析した。樹状細胞との比較にて、プロテアソーム阻害剤、クロロキン存在下での抗原提示能に差がみられ、CD40B細胞では、樹状細胞とは異なる抗原提示経路の存在が示唆された。現在詳細を解析中である。
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