研究概要 |
これまでの研究で、再発症例では,腫瘍内浸潤細胞密度は低下していた。特にCTおよびIM部におけるCD45ROの発現低下と再発には有意な相関関係を認めた。 浸潤免疫細胞密度が高いほど,生存期間の延長を示した。特にCD45RO陽性細胞浸潤密度と生存期間には有意な相関関係が認められた。 また浸潤免疫系細胞密度が高いほど,無病生存率も高いことが明らかとなった。StageIやII症例であっても,CD45RO発現が低い症例の無病生存率は低下していた。一方,stageIV症例であっても,CD45ROの高発現症例では高い無病生存率を示した。 以上の結果から,口腔扁平上皮癌組織において,腫瘍細胞によるMICAの発現と,腫瘍内浸潤免疫細胞の浸潤密度は正の相関関係がある事が示された。特にCD45RO陽性メモリーT細胞の浸潤動態は,口腔扁平上皮癌の再発,無病生存率および生存率と有意に相関していたことから,MICAおよびCD45RO分子は,口腔扁平上皮癌の腫瘍免疫において重要な機能を果たしているとともに,口腔扁平上皮癌の予後予測因子として非常に有用であることが示された。今後、メモリーT細胞の分化誘導に関する遺伝子についてもさらに検討していく。
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