研究課題
本研究は象牙質形成において必須の役割を担うDSPP (Dentin Sialophosphoprotein)タンパクの開裂のメカニズムと意義の解明を目的とし以下のとおり実施した。マウス切歯cDNAをテンプレートとしたPCRにより、DSPPタンパクコード領域(正常DSPPをコード)のクローニングを行った。次に、BMP-1認識配列であるMQ(メチオニン-グルタミン)をIH(イソロイシン-ヒスチジン)に置換し、開裂抵抗性DSPPのクローニングを行った。これら正常及び開裂抵抗性DSPPクローンをretrovirus expression vectorにそれぞれligationし、293細胞を用いて通法に従いレトロウイルスを作製し、MC3T3及びC3H/10T1/2に感染させた。その後選択培養を行い、それぞれ複数の安定発現細胞株を樹立した。これら細胞上清中のDSPのタンパクサイズ並びに量をDSP特異抗体によるウエスタンブロッティングにて解析した結果、HC3T3、C3H/10T1/2共に正常DSPPでは100kDa以下にスメアーに広がるバンドを認めた。開裂抵抗性DSPPでは100kDa以上に強いバンドを認め、100kDa以下には全くバンドを認めなかった。コントロールではバンドを認めなかった。以上の結果より、DSPPの開裂抑制はその細胞外分泌を抑制しないことが明らかとなった。また、開裂抵抗性DSPPにおいて100kDa以下にバンドを認めなかったことから、DSPPの開裂が完全に抑制されていることも示唆された。正常及び開裂抵抗性DSPPの細胞分化や石灰化に対する影響については現在検討中である。
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Biochem Biophys Res Commun.
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