bFGFは細胞増殖促進作用を持ち、組織再生において有効に作用する。ポリリン酸は石灰化促進作用を持っており、またbFGFを安定化させる作用を有しており、これらを相互に作用させることで生体内における骨形成促進効果が期待できる。そこで研究目的であるbFGFをもちいたポリリン酸結合型人工骨による骨形成促進の解明を目指すため、in vitroにおける細胞実験にて検討を行った。MC3T3-E1細胞を基礎培地に播種したのち、(1)bFGF+ポリリン酸添加群(2)bFGF添加群(3)ポリリン酸添加群(4)基礎培地のみ(コントロール)に分け継代培養を行い、各期における細胞数および骨形成マーカーをRT-PCR法にて測定した。細胞数の測定結果では(1)bFGF+ポリリン酸添加群がコントロール群に対して有意に高い値を示し、bFGFによる細胞増殖作用およびポリリン酸によるbFGFの安定化作用が明らかとなった。骨分化マーカーの測定ではコントロール群に対して(1)bFGF+ポリリン酸添加群および(3)ポリリン酸添加群が有意に高い値を示した。これらの細胞実験の結果より、I : bFGFをポリリン酸が安定化することにより、細胞増殖を促進させたII : ポリリン酸添加群およびbFGF+ポリリン酸添加群が骨分化マーカーの発現を促進したが、ポリリン酸添加群が最も高い値を示した、以上よりin vitroにおけるbFGFおよびポリリン酸の相互作用の一端が解明された。この結果をもとに、平成22年度では生体内での促進効果の解明を目指す。
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