平成21年度の研究では、ヒト培養MSCにおいて、アメロゲニンに対して有力なレセプターとされているLAMP-1およびCD63の発現を証明し、これらのレセプターを介したアメロゲニンの機能を明らかにすることを目的とした。 1) ヒト培養MSCに対するアメロゲニンの影響について検討 アメロゲニンによるの増殖能への影響についてELISA BrdU kitを用いて検討を行ったところ、MSCの細胞増殖能が亢進することが明らかとなった。 2)MSC増殖に対するアメロゲニンレセプターLAMP-1およびCD63の関与の検討 MSCの増殖期において、CD63の発現は認められなかったが、LAMP-1の発現が確認された。次に、LAMP-1中和抗体を添加したところ、アメロゲニンによる細胞増殖能の亢進を抑制した。このことより、アメロゲニンはMSCの増殖に対してLAMP-1を介して作用している可能性が示唆された。 3) アメロゲニンに関連した細胞内シグナリング経路の検討 アメロゲニンを添加した際のErk1/2の活性の変化について検討を行ったところ、アメロゲニンの添加によりErk1/2の活性が有意に亢進した。また、LAMP-1中和抗体を添加することで、アメロゲニンによるErk1/2活性の亢進を抑制することが明らかとなった。 以上のことより、アメロゲニンがLAMP-1を介してMSCの増殖を亢進しており、その細胞内シグナリング経路の一つとしてMAPK-Erk経路の関与が明らかとなった。
|