In Vitroにおいて、口腔扁上皮癌細胞株(SAS・HSC-2)をControl(無血清培地で48時間後培養)、Bev(10μg/ml)単独、5-FU(1μg/ml)単独、Bevと5-FUを併用処理し、VEGF-Aの発現をウエスタンブロッド法にて確認したところ、SAS・HSC-2共にControlとBev単独では発現に変化はなかったが、5-FU単独では若干低下が生じ、併用群ではさらなる発現低下が生じた。また、上記条件で24時間と48時間処理した培養液中のVEGF-Aの濃度をELISA法で測定したところ、両細胞の24時間・48時間処理では、Contorl群と比較し、S-1単独では低下が生じ、Bev単独と併用群では著明な低下が生じていた。In Vivoでは、HSC-2をヌードマウス背部皮下に移植し腫瘍形成後、Control群、ベバシズマブ単独群(以下Bev 100μgを週2回3週間腹腔内投与)、S-1単独群(6.9mg/kg/day 3週間連続経口投与)、BevとS-1を併用し、21日投与後の残存腫瘍では、特にControl群と併用群において著明な差が認められた。残存腫瘍でのCD34免疫染色ではControl群と比較し、S-1単独、Bev単独、併用群の順に腫瘍新生血管の低下が認められ、Ki67免疫染色ではControl群、Bev単独、S-1単独、併用群の順に細胞増殖能の低下が認められた。TUNEL法ではControl群、Bev単独、S-1単独、併用群の順にapoptosisが増大していた。以上の結果から、BevはVEGFと直接結合し血管新生を阻害する。一方、S-1には抗腫瘍効果があり、BevとS-1の併用により腫瘍増大を抑制できたことから、口腔癌での新たなTumor dormancy therapyとなることが示唆された。
|