本研究の主目的は、磁気共鳴画像法の一種である、T1ρ強調画像とT1ρ値計算画像を用いて、変形性膝関節症により傷害された関節軟骨内の病変部を検出すること、その進行度を定量的に評価することである。具体的には、従来の画像診断による形態的評価に加え、1)関節軟骨の健常部と病変部を分離し、病変の進行度を定量的に評価できるように、撮影方法と画像結果の解析方法に関して、最適な条件を探求し、改良する。2)我々の提唱する定量的評価法の有用性に関して、変形性膝関節症の患者を対象に施行した、画像所見と人工関節置換術施行時に採取した切除標本と対比し、病理組織学的結果と対比する。3)異なる観察者であろうと、統一した解釈が可能なように、定量的評価法の基準を作成する。この研究結果により非侵襲的かつ簡易な画像検査法として、整形外科医の診療を支援することを目的としている。 当該年度は、画像所見と病理学的所見の解析を中心に行った。前年度に引き続き、当施設の倫理委員会の基準に応じた人工関節置換術施行予定患者を対象として、術前にT1ρ強調画像とT1値計算画像の撮影を行い、定量的評価を施行した。また、手術終了後に取得された、関節軟骨の切除標本の病理組織学的評価を行い、画像所見との対比を行った。病理組織学的には肉眼的評価、顕微鏡学的評価の2通りの方法を用いて、重症度分類を行った。いずれにおいても、T1値計算画像は、関節軟骨障害の早期検出、その重症度の推測に有用性があると考えられた。この研究成果は来年度の学会にて発表し、投稿予定である。
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