研究課題
高い生体安全性を有する、ナノ粒子タイプのマルチモダリティ対応型分子イメージングプローブの開発を目的とし、γ-ポリグルタミン酸(PGA)被膜を持つ粒子が、低毒性かつ高い細胞膜透過性を持つという知見をもとに、本年度はSPECT用核種である^<111>InによるRI標識γ-PGA複合体(^<111>In-PGA体)を作製し、細胞および小動物を用いた評価を行うことで、核医学診断用ナノ粒子としての有用性を評価した。標的組織にはセンチネルリンパ節(SLN)を選択した。併せて、カチオン性粒子である^<111>In-DTPA-G4/PEI(^<111>In-PEI体)および別のアニオン性高分子であるアルギン酸(ALG)を含む^<111>In-DTPA-G4/PEI/ALG(^<111>In-ALG)も合成した。これらの粒子のマクロファージ細胞への取り込みを評価した結果、^<111>In-PGA体は^<111>In-PEI体と同程度の取込みを示した一方で、^<111>In-ALG体と比較して有意に高く取込まれた。また、^<111>In-PGA体の取込みは、phagocytosis阻害剤あるいはγ-PGAの同時処置により有意に抑制されたことから、取込み機構におけるphagocytosisおよびγ-PGA特異的な輸送経路の関与が示唆された。次に、各粒子の細胞毒性、血液毒性を評価した結果、PEI体は強い細胞障害性、赤血球凝集を示した一方で、PGA体、ALG体はこれらを認めず、高い生体適合性が示唆された。続いて、各^<111>In標識体をラットのfoot padより投与し、生体内放射能分布を経時的に調べた結果、^<111>In-PGA体の投与24時間後におけるSLNへの集積は、他の複合体と比較して有意に高かった。さらにSPECT/CT撮像において、^<111>In-PGA体は明瞭にSLNを描出した。
すべて 2011
すべて 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)