研究概要 |
大腸癌の発癌には染色体不安定性(chromosomal instability;CIN)とマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MIN)の二つの経路が存在することが知られており、CINには癌抑制遺伝子をはじめとする癌関連遺伝子のLOHと遺伝子変異が伴うことが多いとされている。CINの原因として、紡錘体形成チェックポイント機能(spindle assembly checkpoint;SAC)の異常が考えられている。紡錘体チェックポイントは正常な紡錘体構築されて全ての動原体が動原体微小管と結合するまでM期後期過程の開始を抑制する機構のことで、1998年に主経路が判明した。SACには主な因子としてMad2、BubR1がある。染色体が正しく紡錘体と結合するまでの間、Mad2とBubR1はCdc20と複合体を形成し、後期促進因子(anaphase promotingcomplex/cyclosome;APC/C)を不活性化している。Mad2とBubR1などの紡錘体チェックポイント機構の構成因子の異常は染色体不安定性、発癌につながることが知られている。 1.胃癌細胞株におけるCdc20の発現をRealtime PCRで定量し,各胃癌細胞株のploidy patternと比較したところ,Cdc20の発現とploidy patternには明らかな関連を認めなかった。 2.胃癌臨床検体6例を用いてCdc20の発現をRealtime PCRで定量し,ploidy patternまた癌部と非癌部で比較したところ,Cdc20の発現とploidy patternには明らかな関連を認めなかった。Diploidyである胃癌臨床検体2例においてCdc20の発現は非癌部に比べて癌部に発現が高い傾向を認めた。
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