研究概要 |
脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポカイン)の1種であるアディポネクチンの細胞生物学的分子機構を明らかにするため実験を行った。既に申請者らはマウスマクロファージ様細胞(RAW264細胞)において、アディポネクチン刺激により活性酸素種(ROS)と一酸化窒素(NO)を介してアポトーシスを誘導することを明らかにした。さらにアポトーシスを抑制するBcl-2はアディポネクチン刺激により発現が抑制されることを明らかにした。本研究ではイノシトールリン脂質分解産物であるジアシルグリセロールをリン酸化してホスファチジン酸を産生させるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)に注目し、アディポネクチンとの関係を明らかにするため実験を行った。本年度は特にDGKとアディポネクチン誘導アポトーシスとの関係を調べた。その結果、RAW264細胞において、DGK阻害剤前処理によりアディポネクチン誘導ROSとNOの産生が抑制され、またアディポネクチン誘導アポトーシスが抑制された。さらにRAW264細胞において、DGKα,δ,γ,ζをRNA干渉によりそれぞれノックダウンし、その後アディポネクチン刺激を行った。その結果DGKαとDGKγのノックダウンによりアディポネクチン誘導ROSとNOの産生が一部抑制され、アディポネクチン誘導アポトーシスも一部抑制された。さらにDGKαのノックダウンにより、アディポネクチン刺激によるBcl-2の発現低下が部分的に解除された。以上の結果より、アディポネクチン誘導アポトーシスはDGKα,γを介して誘導されていることが示唆された。
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