神経膠芽腫の標準治療薬であるテモゾロマイド(TMZ)において、腫瘍再発や薬剤耐性については十分に明らかになっていない。ここではマイクロRNA(miRNA)が腫瘍の薬剤耐性の獲得に関与するという仮説のもと、以下の結果を得、また継続実験を行っている。 U251MGをはじめとする数種類の神経膠芽腫細胞株にTMZを負荷し、薬剤耐性株を樹立した。Methylation specific PCR法にてTMZ耐性に関与するMGMT promotorのmethylation statusも検討した。Microarrayにて耐性獲得前後のmiRNA発現profileを比較した。Northern blot、real time quantitative RT-PCRにてmiRNAの発現変化を検討した。標的miRNAを特異的にknock-downするLocked Nucleic Acid(LNA)を組み込んだanti-sense LNA-DNA oligonucleotideをデザインした。Lipofectamine 2000を用いた実験系にて標的miRNAのknock downによる効果を検討した。U251MGおよびU251Rにtransfectし、TMZ負荷と併せて、殺細胞効果を確認した。また、樹立した耐性株のMGMT methylation statusに変化を認めなかった。候補となったmiRNAに関しては現在さらなる解析を進め同定中である。また、miRNAのLoss of function analysisにてTMZの殺細胞効果の増強を認めた。TMZ耐性獲得に、miRNAが重要な役割を果す可能性が示唆された。標的mRNAの推測など、さらに分子機構を解析中である。
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