神経膠芽腫の標準治療薬であるテモゾロマイド(TMZ)において、腫瘍再発や薬剤耐性については十分に明らかになっていない。ここではマイクロRNA(miRNA)が腫瘍の薬剤耐性の獲得に関与するという仮説のもと、以下の結果を得た。 U251MGをはじめとする数種類の神経膠芽腫細胞株にTMZを負荷し、薬剤耐性株を樹立した。Methylation specific PCR法にてTMZ耐性に関与するMGMT promotorのmethylation statusも検討した。Microarrayにて耐性獲得前後のmiRNA発現profileを比較したところmiR-195、miR455-3p、miR-10a^*がup-regulateされていた。これらのmiRNAを特異的にknock-downするLocked Nucleic Acid (LNA)を組み込んだanti-sense LNA-DNA oligonucleotide をデザインし標的miRNAのknock downによる効果を検討したところ、U251MGおよびその耐性株に、TMZ負荷と併せて、殺細胞効果を確認した。また、樹立した耐性株のMGMT methylation statusに変化を認めなかった。これらの結果よりTMZ耐性克服の新たな分子標的として上記miRNAが重要な役割を果す可能性が示唆された。
|