私はこれまで、骨格形成における軟骨細胞分化、増殖、基質産生、細胞成長(大きさ)に対するAktの機能を明らかにした。さらにその下流シグナル分子(mTOR、GSK3、FoxOs)の機能を解明し、mTORがAktの下流で一番主要な役割を担っていることを明らかにした。 今回の申請では、mTORの下流シグナルの骨格形成プロセス(分化、増殖、基質産生、細胞成長)における機能を明らかにする。具体的には、mTORの下流分子の機能を明らかにするとともに、Runx2の活性化を介した骨格形成プロセスの制御機構を解明を目指した。本研究は、これまでに確立した長管骨(大腿骨、頸骨)の器官培養と培養骨へのアデノウィルスを用いた遺伝子導入で、各分子の機能を組織レベルで明らかにする独創的な研究であり、骨格形成機構の解明に大きく貢献できると考えられた。 まずRunx2に関連があると思われる分子の軟骨細胞における細胞増殖における機能について、胎生15.5日齢のマウス胎児より摘出した長管骨である大腿骨、頸骨を用いて対照群とラパマイシンを暴露した群で、器官培養を48時間、あるいは96時間行い、そのリン酸化型が低下しているか、ウエスタンブロッティング、また免疫染色で検討し、一方では有意な差を確認できた。 またその分子のリン酸化は、Runx2の核移行を促進している可能性もあり、そこで、ある薬剤を胎生15.5日齢のマウス胎児から摘出した長管骨である大腿骨、頸骨に作用させ、器官培養を48時間行い、骨格標本においては有意な差を確認した。 また、それに関連し、wnt経路に関連したTcf7、Lef1とRunx2の相互作用について研究成果を国際雑誌に発表した。
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