研究概要 |
今回のわれわれの研究目的は、オートファジーを調節する働きを有する新規のp53標的遺伝子をマイクロアレイで網羅的に同定することである。まず、p53のsiRNA配列をshort hairpinRNAとなるようにretrovirus vectorへ挿入後、293T細胞へ導入しレトロウイルスを作製した。これをヒト肝細胞癌細胞株HepG2細胞及びヒト線維芽細胞株HFF2細胞に感染させ、薬剤選択することでp53 knock-down細胞を構築した。p53 wild type細胞と同時にアミノ酸飢餓状態とし,何れの細胞でもオートファジーが誘導されることを、抗LC3抗体および抗p62抗体を用いたwestern blotting法にて確認した。また、これらの細胞をアミノ酸飢餓後、継時的にp53蛋白の発現量が増加することを確認した。p53 knock-down細胞を及びp53 wild type細胞と同時にアミノ酸飢餓状態とし,オートファジーが誘導された状態でDNAマイクロアレイ解析用にそれぞれの細胞のmRNAを抽出し精製した.現在、mRNAからcDNAを精製し,そのクオリティを確認中である。今後は、Filgen社が提供するcDNAマイクロアレイを用いて,p53の有無によるオートファジー誘導時の遺伝子発現の違いを評価する予定である。また、ターゲットとなりそうな遺伝子を確認後はreal-timePCRを用いて結果の検証を行い、p53の直接の標的遺伝子であることをレポーターアッセイ及びChIPアッセイにて確認を行う。 そのp53がどのようにオートファジーを制御しているかを解明することで,最終的にはオートファジーを介したp53の腫瘍抑制機能の新たな経路の解明を試みる
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