Irf4欠損MRL/lprマウスにおける腎炎へのCD4^+T細胞の関与に関する研究に関して、12週齢のIrf4^<+/+>、Irf4^<+/->、Irf4^<-/->MRL/lprマウスの脾臓由来CD4陽性T細胞を、PMA/ionomycineで刺激し、IFN-γ産生Th1細胞、IL-4産生Th2細胞、IL-17産生Th17細胞のポピュレーションをELISPOT法で解析した。その結果、Irf4^<+/+>、Irf4^<+/->MRL/lprマウスの両者にはTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞がそれぞれ確認されたが、Irf4^<-/->MRL/lprマウスではTh17細胞が殆ど存在せず、一部のIrf4^<-/->MRL/lprマウスを除いてTh2細胞も減少していた。注目すべき点として、Irf4^<+/+>、Irf4^<+/->MRL/lprマウスと比較して、Irf4^<-/->MRL/lprマウスではTh1細胞数の増加が認められた。従って、Irf4^<-/->MRL/lprマウスにおいて認められる増殖性糸球体腎炎や皮膚炎・耳介壊死には自己反応性B細胞やTh2/Th17細胞が関与するのではなく、Th1細胞が強く関与している事が示唆された。さらにCD4陽性T細胞におけるナイーブT細胞およびメモリーT細胞数を蛍光標識した抗CD62L抗体と抗CD44抗体を用いて検討した結果、Irf4^<+/+>、Irf4^<+/->MRL/lprマウスと比較して、Irf4^<-/->MRL/lprマウスではCD4陽性メモリーT細胞が増加している事が判明した。以上の結果から、MRL/lprマウスにおいて、Th1細胞が直接的に増殖性糸球体腎炎や皮膚炎・耳介壊死に関与する事が示唆され、従来の自己反応性B細胞のみを標的とした治療に加えて、Th1細胞をも標的とした治療戦略の必要性が示唆された。今後は他のSLEモデルマウスであるNZM2410系でも同様の検討を行う。
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